2015年6月21日日曜日

古英語の12月

古英語にも、一年には12月の区切りがあったようです。
以下の古英語の12月は、Old English Matyrology中に出てきたものを、メモしておいたものを元にしているのですが、どのようなところで出てきたものかうっかり詳細を見失ってしまいました。

 この並びを見る限り、今のmonthの以前の形であるmonað/þという語が語尾につかないものもあります。私には、ラテン語の月の数に古英語の月を対応させるために、あえて増やした「月」もあるのではないかな、という気がします。でも完全なる憶測です。
 月の名前の由来ははっきりしませんが、尊者ベーダという当時の学者はキリスト教以前の異教時代と関連付けて意味解説していることが多いです。ただ、それも正確かどうかはいまいちわかりません。疑わしいこともあります。
 とりあえずは、メモ程度に。またわかった事があれば、記事にしてみようかなと思います。


1月: Æftera Geola (monaþ): The Latter Month of Yule (After-Yule). 冬至後の月ですね。

2月:Solmonað: ?? sol=mud? (実際、英国では地面がどろどろになる時期ではあります)でも、ベーダに拠れば(異教時代)「ケーキを神々に捧げたから」だそうですが、solをケーキとする用法はここ以外では見当たらないそうです。

3月:Hredmonað: ?? hreð=glory, fame. ベーダに拠ればRhedaという女神を崇めた月だそうです。どうなんでしょう。

4月: Eastermonað: Easter Month: ベーダに拠れば、Eostreという女神を崇めた名残だそうです。

5月: Þrimilcemōnaþ: Month of Three Milkings. 一日に三回乳絞りができる季節なのだそうです。

6月: Ærra Liða: Earlier Mild/Calm (Month). 海の旅に向いた穏やかな季節、ということだそうです。日本では台風の季節ですが。

7月: Æftera Liþa: Later Mild (month).海の旅に向いた穏やかな季節の後半ということです。

8月: Weodmonaþ: Weed Month. 草(雑草)の月。多分、生い茂るのでしょう。 

9月: Heiligmonaþ: holy month. ベーダはこの月については、「聖性の月」としか言ってくれません。

10月: Winterfylleð: Winter Full Moon. ベーダに拠れば、昔の人は一年を、昼が夜より長い夏と夜が昼より長い冬に二分していました。冬が始まる月がWinterfylleðであり、この月の最初の日から冬が始まることから、Winter+Full moonのこの語ができたそうです。

11月: Blodmonað: Sacrifice Month. ベーダに拠れば、供物として神々に動物を捧げた月だそうです。

12月: Ærra Geola: The First Month of Yule (Before-Yule).  冬至前の月です。


参考:
Old English Martyrology. Anon.
De temporum ratione(The Reckoning of Time). Bede.

2015年6月3日水曜日

謎詩59番

ものすごく久しぶりに。

Ic eom weorð werum,   wīde funden,
brungen of bearwum   ond of bēorghleoþum,
of denum ond of dūnum.   Dæges mec wǣgun
feþre on lifte,   feredon mid liste
under hrōfes hlēo.   Hæleð mec siþþan
baþedan in bydene.   Nū ic eom bindere
ond swingere,   sōna weorpe
esne tō eorþan   hwīlum ealdne ceorl.

Sōna þæt onfindeð   se þe mec fēhð ongēan
ond wið maegenþisan   mīnre genǣsteð
þæt hē hrycge sceal   hr
ūsan  sēcan
gif 
 unrǣdes   ǣr ne geswīceð
strengo bistolen   strong on spr
ǣce,
mægene binumen;   nāh his mōdes geweald
fōta ne folma.   Frige hwæt ic hātte,
ðe on eorþan sw
ā   esnas binde
dole æfter dyntum   be dæges lēohte.



I am valuable to men, found far and wide,
brought from grove and from mountain-slopes,
from valley and from hill. By day I was carried 
into the air on feathers, carried with cunning
under the protection of the roof. Men later
bathed me in a tub. Now I am a binder
and beater, (I) immediately throw
a man unto earth. Sometimes an old peasant.
He immediately realises this, he who seizes me against him,
and with force grapples with me,
so that with his back he must seek the earth,
if he foolishly does not desist earlier.
Deprived of strength, strong in speech,
deprived of power, he does not have courage against control
of neither his hands nor feet. Ask what I am called,
who upon this earth binds men so, 
dazed after blows by day's light.


私は人にとって貴重なもので、様々なところにあり、

茂みや山の斜面から運ばれる、
谷や丘からも。日中私は
羽に乗って空中に運ばれ、巧みに
屋根の保護の下へと運ばれた。人々は後に
私を浴槽に浸した。今や私は縛る者であり
殴る者であり、私は直ちに
人を地に投げ打つ。あるときそれは年老いた農民で、
それに気づいた彼は私を近くに掴み、
そして力をもって掴みあう。
そうすると彼は仰向けに地面に倒れなければならない、
もし彼が愚かにもその前にやめなければ。
膂力は奪われ、言葉は強く、
力は奪われ、彼は制御することができない、
自らの手も足も。私が何と呼ばれるのか聞きなさい、
そのように人を地に縛り付け、日の光に殴られて目をくらませることのできる、この私はなんと呼ばれるのか。




答えは反転で:蜂蜜酒
蜂蜜酒(ミード)は文字通り蜂蜜と水を混ぜて発酵させ、アルコール分のある飲料になります。前半6a行まではどのようにして蜂蜜が採取され酒になるのかを、後半6b行以降は酒としての効能を歌っているのでしょう。